前回は、業務上ケガや病気になった場合の労災の手続きについてご紹介しました。
業務中に機械でケガをしたなど、目に見えるものについては説明もしやすく、比較的労災認定されやすいのですが、業務中に脳出血などで倒れた場合の原因が業務によるものなのかということについては、判断が非常に難しくなります。
前々回のブログ記事では、「脳血管疾患及び拠出性心疾患等の認定基準」について触れましたが、その疾病が発症する前に何があったのか事実確認する必要があります。
そこで、発症前の従業員の労働状況を確認することになります。
特に、長時間の過重業務があったかどうかという点から、
時間外労働時間数の把握が重要になります。
労働基準監督署が確認する調査項目をみてみましょう。
(以下、ビジネスガイド3月号より一部抜粋)
①従業員自身に確認すること
・通常の家を出る時間、帰宅時間
・帰宅時間等を証明できるメモ、手帳等の存在の有無
・業務内容、残業等に関する会話の内容
・健康状態
・体調の変化
②会社に確認すること
・他の従業員の時間外労働時間数
・時間外労働の管理方法
・最終退出者の確認方法
・把握している時間外労働時間数と実態との整合性
・業務日誌、業務報告書等の存在
・従業員の健康状態の把握
③同僚等に確認すること
・対象者の時間外労働時間数
・会社が把握している時間外労働時間数と実態との整合性
・対象者の健康状態の把握
・業務日誌、業務報告書等の存在
その後、関係資料等の収集、関係資料、供述内容の突合せ、不整合部分の再聴取をするようです。
時間外労働時間数については、従業員が主張する時間数と会社が把握している時間数は、一致しないケースが多くあるため、とても難しい問題です。
会社は、日頃から従業員の時間外労働時間の管理の徹底と安全管理に努め、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
会社にとって従業員は何よりの宝なのですから。