人事の豆知識

勤務中に倒れたら労災になるのか?(認定基準)

2012.03.11
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業務中に起きた疾病は、業務に起因することが明らかである場合には業務上疾病と認められ、労災の認定が下ります。

近年、長時間労働に伴う過労によって、脳血管疾患や精神障害の方が急増しています。

それぞれ、通達で労災の認定基準が定められており、基準を満たせば労災として認定されますので、まずは認定基準をみていきましょう。

今回は、脳・心臓疾患について記載します。

「脳血管疾患」とは、

脳内出血、くも膜下出血、脳こうそく、高血圧性脳症をいいます。

「虚血性心疾患」とは、

心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈瘤をいいます。

【脳・心臓疾患の認定基準(平成13.12.12基発1063号)】

脳・心臓疾患の業務上外の判断は、次の3つの認定要件を基準として行われる。

① 異常な出来事
発症直前から前日までの間に、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したかどうか。

② 短時間の過重業務
発症に近接した時期(発症前おおむね1週間)において、特に過重な業務に就労したかどうか。

③ 長期間の過重業務
発症前の長期間(発症前おおむね6か月間)にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したかどうか。

具体的にはこちら・・・

■「異常な出来事」とは、
極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態、急激で著しい作業環境の変化をいいます。

■「短時間の過重業務」の判断は、
次の労働時間に係る負荷要因とそれ以外の負荷要因(不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交替制勤務・深夜勤務、作業環境、精神的緊張を伴う業務)を検討して行われます。
1)発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められるか

2)発症前おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められるか

3)休日が確保されていたか等

■「長時間の過重業務」の判断は、次の労働時間に係る負荷要因とそれ以外の負荷要因を検討して行われます。

1) 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね45時間を超える時間外労働(週40時間を超える労働)が認められr邸内場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる。

2) 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる。

次回は、実際の手続きについて触れたいと思います。