「1年単位の変形労働時間制を導入しているのですが、
休日を振替えることはできますか?」
これは、偶然なのか、最近よくお問い合わせいただく内容です。
答えは・・・、
原則は休日を振替えることはできないことになっています。
なぜなら、1年単位の変形労働時間制の趣旨と異なってしまうからです。
なぜ1年単位の変形労働時間制を導入するかというと、
業務内容が季節的に繁閑の波があり、労働基準法で定められた原則的な労働時間である「1日8時間、1週間40時間」という枠の中で収まらない時期があり、
しかしながら、1年間を通してみると1週間の平均労働時間を40時間で収まるように労働させることができるから導入するわけです。
つまり、1年単位の変形労働時間制は、あらかじめ業務の繁閑を見込んで、それにあわせて労働時間を配分するものであるので、突発的なものを除き、恒常的な時間外労働は無いことを前提としています。
そのため、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することはないということを前提としています。
しかしながら、予期しない事情が発生し、やむを得ず休日の振替を行わなければならなくなることも想定され、そこまでの休日の振替を禁止する趣旨ではないため、事前に就業規則等に休日の振替ができる旨を規定しておくとよいでしょう。
なお、以下の行政通達があります。
【引用:ビジネスガイドNo.681より】
(1)就業規則において休日の振替を必要とする場合に休日を振り替えることができる旨の規定を設け,これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えるものであること。この場合,就業規則等において,できる限り,休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましいこと。
(2)対象期間(特定期間を除く。)においては連続労働日数が6日以内となること。
(3)特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内であること。また,例えば,同一週内で休日をあらかじめ8時間を超えて労働を行わせることとして特定していた日と振り替えた場合については,当初の休日は労働日として特定されていなかったものであり,労働基準法第32条の4第1項に照らし,当該日に8時間を超える労働を行わせることとなった場合には,その超える時間については時間外労働となるものである。
(平6.5.31基発第330号,平9.3.28基発210号平11.3.31基発168号)