前回は、1ヶ月単位の変形労働時間制とは何かということを記載しました。
今回は、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用した場合の注意点についてまとめましたので、参考にしてみてください。
変形期間における各日、各週の労働時間が定めること。
具体的には、就業規則等に労働日ごとの始業・終業時刻、休憩開始時刻、休憩時間をきちんと規定しておかなければなりません。
労使慣行になっているという理由では駄目です。
変形期間における各日、各週の労働時間の特定を「シフト表」によって行うことは可能ですが、就業規則等に、組み合わせ方・組み合わせ基準・作成手続き・周知方法を規定しておかなければなりません。
なお、このシフト表を採用する場合には、その期間の開始前のできれば前々月末日、遅くとも1週間から10日前には周知されるとよいでしょう。
勤務変更をすることは可能ですが、就業規則等に具体的な変更事由を定めておくことが求められます。
つまり、「業務の都合により変更する」といった抽象的な規定ではなく、「業務の都合によりやむを得ない事由がある場合には、事前に本人に通知し、休日を同一週内のほかの人振り替える事がある」などとしておくのが無難と思われます。
変形期間における法定労働時間の総枠を超えた時間が、時間外労働時間というわけではありません。
(1)1日については次の時間が時間外労働時間
・所定労働時間が8時間を超える日は、所定労働時間を超えて労働した時間
・所定労働時間が8時間以内の日は、8時間を超えて労働した時間
(2)1週間については、次の時間から(1)の時間外労働時間を
差し引いた時間が時間外労働時間
・所定労働時間が40時間(44時間)を超える週は、
所定労働時間を超えて労働した時間
・所定労働時間が40時間(44時間)以内の週は、
40時間(44時間)を超えて労働した時間
(3)変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間から(1)および(2)の時間外労働時間を差し引いた時間が時間外労働となります。
(参考文献:「変形・みなし労働時間制 FromAtoZ」 OURSブックス)